円秋くんとぼく

 

 きょうは、円秋くんの話をします。

 ぼくが円秋くんと初めて会ったのはかれこれ8年前、学生時代の円秋くんがしていたアルバイトをぼくもすることになって、初めて参加したバイトミーティングの席上ででした。この時の晩メシにコンビニのサラダ巻きが出ていて、晩ごはんを食べてきた為に食いきれずにぼくが残したサラダ巻きをこ○○つくんが食べていましたが、それは今回の話とまったく関係ないので割愛します。

 それからしばらく、趣味があうやらなにやらで交友を続けていましたが、ある時、ぼくが「つるんでやがる、つるんでやがる、どいつもこいつもよってたかってギワザさまを……」と口ずさんだ時、 「エルガイムの第49話の科白ね。あれはいい演出だった……」とすかさず返してくれました。日常生活でマフ=マクトミンの科白を口ずさむぼくもナニですが、間髪入れずに話数まで入ったツッコミ入れてくる円秋くんは、リアルキ○ガイか天然記念物級のオタクじゃねぇのかとっても記憶力がいいなあと感心させられます。

 また、円秋くんは無意識下のエンターティナーでもあります。ぼくと電話で話をしているとき、「○○○は○○に○○だけで○○だから、○を使って○○しにした方が世の為になる」とか、「○○○や○○○なんか○○てても仕方がないから、とっとと○してその後○○が○○や○○を○○した方がいい。○○らは○○○として○○があるから、まあ、○○しておいてもいいかな」と言った伏字だらけで訳がわからないけど伏字を無くしたらホンキでシャレにならない を話してぼくを笑わせてくれます。ぼくも似たようなことを言っているのは置いておいて……。公安のみなさーん! 円秋くんこんなイリーガルなこと言ってますけどいいんですかー? 円秋くんが発○したら、「公安が……公安のごんずい玉がくるよー!」とか叫び出しそうな気がしてなりません。それにしても、あんなド左の大学出ていながら、今に至るまでド右を貫いている円秋くんは本物の男だなあ、と思ってしまいます。
 
 そういえば、円秋くんは特撮番組が大好きです。無論ぼくも好きなのですが、ここで問題になるのはクリスマスはとうに過ぎ、もうすぐ大晦日のエエ歳こいた男が二人で「仮面ライダーの敵組織に入るならどれがいいか?」とか、「どの戦隊の戦闘能力が一番高いか?」とか、「ウルトラマンナイスはパパパンチやキキキックやパパパットやベリーナイス光線やミレニアムクロスでタイラントやエースキラークラスの怪獣を一発で消滅させられるか?」なんていう公安に盗聴されてたら何かの暗号じゃないかとカンチガイされそうな冷静になって考えると何の役にも立たない議論をマジでやってしまうところにあります。円秋くんが5年間住んだ東京を離れる前夜も、まるでそんな事は眼中に無いかのごとくガンダムの話をして潰してしまいましたし。

 ときに、円秋くんは大変な物知りでもあります。あるとき、ぼくが日産のバイオレットなんていう25年くらい前のはやりもしなかったファミリーカーのことをちょっと言ったのですが、すかさず 「あの車は視界が悪い」とコメントしてくれました。このことからも分かるように、車やオートバイに関してはシャシーやフレームなんていったレベルを軽く通り越した知識を持っています。「あんた無駄知識のカタマリ?」と問い質したくなってきますが、それを言ったらぼくも実学より雑学のほうがあると言えばあるので表立っては言えません。でも、それだけの知識を持っているのにドレンボルトやクーラントボルトがメートル並目ネジではなくメートル細目ネジを使っている事を知らなかったり、鉄の溶接加工を計画しているのにナマと快削の性質の違いを知らなかったり、タップ知ってるのにダイス知らなかったり、ステンレスマフラーについて言及しているのにSUS303とSUS416の違いを知らなかったりするあたりがオチャメさんです。

 さて、現在の円秋くんのメインの愛車はBMWのR1100RSです。ぼくは円秋くんがR1100RSを買ったときからほぼリアルタイムでかのバイクの変遷を見ているのですが、それを見るとことオートバイに関しては円秋くんが徹底したリアリストである事が分かります。ファッション的な改造も行ってはいますが、あくまで主力の改造は走行性、快適性の向上の2点に絞られるからです。ただ、ぼくのK100LTを2台買ってお釣りが来るくらいの投資をほぼその2点につぎ込んでいるあたり、ひょっとしたら物凄いロマンチストなんじゃないかとも思ってしまいます。また、彼のR1100RSは、すでに伝説と化しているな○○にくんの勇者VTとカラーリングが同じだったため、「 VTの甲○○ホ○○ンのバランスが崩れて巨大化したのがRSだ。同しツインだし」などと言われていましたが、あんな10万kmオーバー走って、ガムテープでカウル継ぎ接ぎだらけで、ミラーは手鏡巻きつけていて、最期はハデにオイルブチ撒けてお亡くなりになったVTが巨大化したのがRSだなどと言うと円秋くんが気を悪くしそうなので黙っておきます。気を悪くすると言えば、以前1回だけ円秋くんに怒鳴られた事があるのですが、その時の円秋くんの目はまるで「花の慶次」で加賀藩の侍にガンくれてる真田幸村のようで座りションベンもんの迫力がありました。そうそう、ぼくの方から言う事といえば、6年前の春のガレージセールのとき、一緒に行くはずが勝手に1人で合点してぼくに1本の電話もよこさずに1人でガレージセールに行ってしまい、電話を待っていたぼくの貴重な1日を無駄にさせて下さいやがった事は忘れていません。あと、ぼくが寝ているときに、ぼくのバッグを勝手に開けて包装も解いていない本を開けて読んで下さいやがったことも忘れていません。いままでこの話題に触れていませんでしたが、これからは3年に1回くらいの割合でネチネチ言及させてもらいます。

 また、円秋くんは大変な勉強家でもあります。円秋くんは家の本棚に「超越○力 PART・1 天○通」とか、「ザ・○ッダ」とか原作者が○○○を○○○で○○○いてパクられた本をコピーしてまで入手して並べていますし、ぼくに電話で「肺栗鼠呉簿龍初無の史尾李の総集編2があったら押さえておいてくれ」と指示するなど、地方では入手が難しいらしい本の獲得にも抜かりがありません。もっとも、東京でも普通の本屋さんではまず100%売っていませんが。これほどまでにして蔵書の充実を計る円秋くんは、ぼくより1つも若いのに勉強熱心だなぁ、と常々感心させられます。ところで、以前「滅殺」の科白を調べるとき、(以下3行、検閲の末猛抗議を受け削除を余儀なくされました。棒線引っ張るだけにしようかとも思いましたが、ぼくは自分の生命と引き換えにしてまで円秋くんのプライバシーを晒す事を書こうとは思いませんので)?  まあ、余計なお世話だってことは百も承知ですが。

 ともあれ、バイトの後輩であるにも関わらず、タマにタメ口きいてしまうぼくを内心ハラワタ煮え繰り返っているかも知れないのに、そんな事はおくびにも出さない円秋くんはとても人間が出来ています。ぼくが買かぶっているだけかもしれませんが。

  この文章は事実を元に構成されています。 一部誇張がありますが、決して虚構はありません。

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