盗難防止考(背景画像はイメージです)

日本で発生しているバイクの盗難、年間20万件以上ですか。
従来はきっちりとした防備を整えていればさしたる脅威でもなかったバイクの盗難ですが、
ご存知の通り数年前より海外からプロの窃盗団が入り込むようになってから状況は一変し
海外で高く売れるバイクを盗んでいってコンテナに詰めて部品として海外に持ち出し、
売りさばくというシステムができあがってしまいました。
最終的な防衛策としては「日本は車両盗難で商売をするには、割に合わない国だ」と思わせれば
おそらく勝ちなんでしょうが(プロは利益にならないことはしないでしょ)、現実には
プロの犯行と思われる大型バイク盗難の検挙率は一割以下で、敵は商売として充分割に合うのでしょう、
一向になくなる様子がありません。海外には盗難車の需要があり、日本にはそういう市場がなくなるよう
奮闘されている方もおられますが残念ながら現時点でそれはまだ存在しています。

今さらですが、窃盗団への対策は相当に厄介です。
上をたどっていくとまず間違いなく国際的なシンジケートが絡んでいるでしょうし、
実働部隊もほぼ確実に複数で行動している上に武装している例も報告されており、
あちらは昼夜問わず自由に行動できる上に所在地が不明ですから
まっとうな社会人生活をしている人が敵に先制攻撃をかけることはほぼ不可能です。
完璧にイニシアチブを握られていて攻撃もできなければ、現実的には防御を固めるしか手がありません。
ところが日本の法律では泥棒に怪我をさせると犯罪になってしまうんですよね。
もっともプロの泥棒が警察に届けるとも思えませんが、一応危険な罠を仕掛けるのも駄目です。
個人的にこれに対して言いたいことはありますが、バイクは守ったけど自分が檻の中ではシャレにもなりません。
それではどのくらい頑丈な鍵を使えば安全なのかという話はよく出てきますが、
鍵が人間が加工できる素材でできているということは、人間が壊せるということでもあります。
仕事で油圧カッターを使っている人が私の知人におりますが、聞いてみたところ
「油圧カッターの刃で挟めさえすれば、合金鋼なども含めて切れないものはまあ無いも同然だね」
と話してくれました。
つまり、時間と手間さえかければどんな頑丈な鍵でも壊せるのだから
鍵を付けておくだけでは100%完璧な盗難対策とはなりえない、ということです。
盗難防止のアラームにしても同じようなことが言えまして、
詳しいことは書けませんが敵もプロですから、どうしたらアラームを鳴らないように無力化できるか、
鳴っても騒がれる前に持ち去ることはできないかといった研究も行っているようです。
決してアラームが無意味だとは言いませんが、これだけに頼るのも完璧な策とは言えないでしょう。
ブザーが鳴ったまま構わず持ち去ったなんて例もあるようですし。
他にもいろいろな防犯グッズや対策方法がありますが、
自宅やマンションの駐車スペースにバイクを保管している以上は個人レベルでの完璧な策は無いのが実情です。
ただ、それらの対策は一つ一つでは完璧でなくても、無力ではありません。
窃盗犯の立場からすると、嫌がるのは一つ一つの盗みに時間をかけることです。
長引けばそれだけ発見されたり通報される可能性が増え、危険度が増しますから。
ですから複数の防犯手段を講じてバイクを持ち去ることが相当に面倒くさい状態を作り出しておき、
「こいつは面倒くさいしリスクも高過ぎて割に合わないから他の車両を狙おう」と思わせられたら
根本的解決ではないにしても現実的には個人として一応の勝ちでしょう。

バイクの保管体制が全国どこでも軒並みそんな状況になればいいんですが、
やはり社会的構造がしっかりしていためか盗難対策といったものに無関心だった国民性が災いして
プロの窃盗団からすると「まるで道端に宝の山が転がっていような状態」というのは相変わらずです。
海外だと鍵のかかるシャッター付きガレージに保管できなければバイクは持てないというくらいの感覚のようですから。
日本でそれを実現するのは極めて困難ですが、防犯意識と対策を少しでも近づけることくらいはしたいもの。
扉にではなく人の心に鍵をかけるなんて道徳心が通用する相手ならいいんですが、
そういう感覚が通用しない相手が盗みに来ているのですし窃盗団が軒並み検挙されてしまうのを待つなどと
悠長なことはとても言っていられませんからこちらも相応に思考パターンを切り替えて、
我が身に降りかかってくる災いはとにかく振り払っておかないといけないでしょう。
警察が交通安全と道路の円滑な通行におよそ寄与していない取締りなどに精を出さずに
とっとと犯人逮捕に向けて努力してくれればライダーの負担はかなり減少されるんですけどね・・・。

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