ライトの常時点灯

少し前に世界最大の自動車メーカー、GMが日中のライト点灯に交通事故低減の効果が確認されたと発表しました。
GMのデータによると、事故発生率にして5%、都市部での歩行者との事故発生率に限定すると9%の事故発生率低減ができたそうです。
昼間のライト点灯に被視認性向上の効果があるだろうとはだいたい予想してましたが、
自動車メーカー自らがライト点灯の効果を認めたということは画期的です。
交通事故のない社会はみんなの願い。日本のメーカーにも是非頑張っていただきたいと思います。
さて。

ライダーなら誰でも知っている通り、現在日本ではオートバイはライトを常時点灯させることが法的に義務付けられています。
メーカーが自主規制と称してライトスイッチを省略していた頃は
「では何故白バイにはライトスイッチがついているのか?」という疑問も湧きましたが、今となってはそんな不平等感も皆無。
オルタネーターの性能向上に従ってバッテリーあがりの心配もほぼ無くなり、技術的にも問題無し。
ごくごく僅かに燃費は悪化するものの安全性の向上と比べればどちらを重視するかは自ずと明らかなわけですし、
これで交通事故も減って万事めでたし・・・とはいかないのが、現実の難しいところです。

私は公道上でもっとも安全なバイクは暴走族の爆音仕様違法改造バイクだと常々思っているのですが、
その根拠はただひとつ、他者からの被識別性が他のバイクに比して圧倒的に高いためです。
で、誰でも気付いて近づきませんから他の車輛からぶつけられる心配がほとんどありません。
結果としてとても安全だと思います。

ですが違法改造の爆音というのは、「社会的に他人に迷惑をかけない範囲での自由を認める」という
自由主義社会の規範となるルール(私は騒音規制には肯定派です)の範疇を少々逸脱しています。
安全性は全てに優先すると誰かが言いましたが、それでも年間一万人近くの死者を生み出している自動車とバイクの
個人での所有と使用を禁止しようとは誰も言い出さないことからも分かる通り、
実際には安全性追求はある程度までにとどめても、社会的要求と正義への適合性を重視したシステムで車社会は動いている
(道交法については言いたいことが山ほどありますが、一応の基本理念として)のが現実です。
要するに、安全性の追求よりも時として他人に迷惑をかけない行為の方が尊ばれる場合があるということです。

上のような観点で考えた場合に、ライトを消せないシステムというのはいささかの疑問があります。
バイクのライトはもともと搭載位置が高いために光が自動車のミラーに反射し易く、
混合交通の主役である四輪のドライバーには時として非常に迷惑となります。
信号待ちの時などに前の車の運転手があからさまにまぶしそうにしているのにライトを消せずに
「迷惑かけて悪いなあ」という思ったことのあるライダーは多分私だけではないと思います。
また、先に行けという意味で自分のライトを消して合図することができなかったり、
信号待ちの時にはライトを消しておく関東地方の習慣に対応できないことも不便です。

二輪のアフターマーケットパーツでライトスイッチがなかなか無くならず、
BMWのバイクにもユーロ仕様のライトスイッチを個人輸入して取りつけるオーナーが後を絶たないのは
その辺のことが原因なのは間違いないところでしょう。
法律は人間のためのもの。大筋としては正しくても細かい所が今一つ人間のためになってないと思われる法律には
早目の改善をお願いしたいところですが、
そうも言っていられない現実に我慢できない方には自己責任においてより現実的な対応をされるしかないようです。
せめて、必要な時だけ消せるようにしてもらえればいいんですけどねえ。

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