EVOブレーキ
バイクが混合交通の中を走る宿命にある以上、事故の危険は常につきまといます。
事故を防ぐための技術はバイクでも車でももっとも重要な技術だと私は信じて疑いませんし、
ブレーキ性能を向上させるのは接触事故を防ぐためにとても重要な技術です。
その観点から、BMWが採用したEVOブレーキは極めて有効なシステムだと思います。
前後輪への制動力自動配分並びに学習機能による配分の自動修正機能。
同じ力でブレーキをかけた場合に発生する制動力は従来型の約2倍。
最終的な制動力2割上昇(最終的にはタイヤのグリップ限界が上限だから)。
更に新型ABSとの組み合わせ。
加えて言えば、ブレーキを軽い力でかけられるのでブレーキ中でも腕や足がリラックスでき、
緊急事態への対応力が増したり肉体的な疲労度も軽減されるだろうと思います。
コストはかかりますが、様々な状況下でも常に安全に走行できるバイクを追求するという設計理念に対して
極めて忠実かつ前向きなシステムです。
ですが、効き過ぎるという理由でこれにネガティブな反応をした雑誌がありました。
個人的にはその姿勢に大いに疑問があります。
現実として二輪のブレーキ性能は四輪より劣っていますから、
例えば二輪が車間距離を詰めて四輪の後ろを走っていて、両者が限界のフルブレーキをかけると
通常の二輪は前を走る四輪に追突してしまいます。
最低でも四輪車の水準に並ぶ制動力を確保できるようになるまでは「効き過ぎ」という言葉は使えないはず。
高い性能だったら、それを使えるように自分のスタイルを合わせればいいだけのことです。
かつて四輪のブレーキが後輪にしかついていなかった頃、
前輪にブレーキを装着するのは危険だと考えられていました。
それから四輪ブレーキが標準化されるようになっても、
なお暫くの間は前輪のブレーキが後輪より効くのは危険だと考えられていました。
人は技術の進歩に対して、大筋において保守的であるべきではないと思います。
がんばれEVOブレーキ。
でも、ディーラーでしかタイヤとブレーキパッドが交換できない構造だけは何とかしてほしいぞ(^^;)

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