2001年TIサーキット走行会

ご存知の方も多いとは思いますが、日本国内唯一BMWモーターサイクルのワンメイクレースとして、
以前からボクサートロフィーという草レースが筑波サーキットで開催されています。
これに参加しておられる方と話をすると
「走行抵抗を極限まで減らすにはミッションオイルを限界ぎりぎりまでストローで吸い出して・・・」
「98年以降の軽くなったクラッチはレーシングスタートをすると・・・」
「RSはピークパワーの高い前期型よりフラットトルクな後期型の方がサーキットでも結局速い」
「RSとSが全開加速すると、筑波の短いストレートでも差は30メートルほど開く」
「モンキーのバッテリーを積んでオルタネーターを外してしまえば軽くてパワーも食われず、電気もレース終了までなんとかもつんだけど」
といったような、世間一般のBMW乗りには生涯縁のなさそうなディープな世界を垣間見ることができて楽しいんですが、
21世紀を迎えた昨2001年より、このボクサートロフィーがボクサートロフィーWESTと銘打って
かつてF1が開催されて亡きアイルトン・セナが走ったこともある岡山県のTIサーキットでも開催されることとなりました。
それに先立ってTIサーキットで練習走行会が行われることになりまして、
参加人数を増やす手法の定石通りにエントリー予定の無いBMWライダーもTIサーキットの体験走行が可能となりました。
当初はBMWディーラー関西ブロックのMFFとして、純然たる昨年の鈴鹿の代わりになるといった噂も囁かれていましたが、
実際には純然たる体験走行会となりました。

この年は鈴鹿サーキットに大規模な改修工事が行われていた影響で鈴鹿のスケジュールが超過密状態となり、
前2000年に行われたBMWの走行会が日程がとれず開催不可能となってしまっていたので
私も鈴鹿を走れなくなったフラストレーションが溜まっています。早速参加することにしました。

さて、リンクページをご覧になれば一目瞭然のように私は複数のディーラーさんと付き合いがありまして、
この時は真っ先に情報を流してくれた三重のササキスポーツクラブさんから参加申し込みをしました。
しかし、店が鈴鹿サーキットのすぐそばにあるササキさんの集合場所は当然三重県。
岐阜県在住のため名神高速に簡単にアクセスできる私としては、岐阜から三重経由岡山行きはかなりの遠回りになります。
しかし複数で行けば高速道路の覆面パトカー対策などが楽になって神経的な緊張を軽減できていいな、ということで、
実際の参加は同じく付き合いのある滋賀のオートショップフタバさんの一行に同行させてもらうことにしました。
もちろん、こういうことをするからには他のディーラーさんから刺されたりすることのないよう
最大限の注意を払わなくてはならないことは言うまでもありません(^^;)


逆光の上中央の柱が鬱陶しいですがご容赦下さい。K1200RSの比率の高さに注目です。

というわけで、当日瀬田のSAでフタバさんご一行と合流して、TIサーキットを目指しました。
どこのディーラーにも独自のカラーが大なり小なりあるもので
車種の構成比率が全国平均と変わることも珍しくはないのですが、
さすがはかつてK1クラブ(現在はオーナーズクラブの管轄下にあります)を立ち上げたフタバさん。
私を含めて11台の参加車輛のうち実に6台がK1200RSという、他所ではまず見られない車種構成比率でした。
道中の委細は省略しますが、それはもうK1200RSの性能を存分に発揮したハイペースで
私のR1100RSが時として5速全開でなお引き離される場面もあったとかなかったとか(;^_^A

まあそのお陰でTIにも無事到着し受付には余裕をもって間に合ったんですが、そこで問題が発生。
「じゃあ、テーピングしてサーキット走行の準備をするか」と駐車場でトップケースを外した所、
「おや???」
「これは???」
「まさか???」
「・・・でぇ〜マジかこれ!信じられ〜ん!!」という事態が発生していました。
(どういう事態が起こったのかはこのページから想像してください)


この時点で、既にその事態は発生しています。いや、あの時は驚きましたよ。

かくして私のRSは一瞬でサーキット走行不能状態に陥ってしまったんですが、
これで終ってしまったら何をしに岡山まで行ったのかさっぱりわかりません。
とにかく相談に乗ってくれそうな人に片っ端から声をかけ、、
携帯電話も駆使して非常事態に詳しい知人とも連絡を取った結果、
ササキさんがデモ用にキャリアカーで持ち込んでおられた
ボクサートロフィーWESTに出場用に外装に多少のモディファイが施されたR1100Sを
(Motorrad Day2001に載せた車輛ですが外装はあの時とは違い、アールズ・ギアのあの凄いマフラーもこの時まだ未装着)
貸してもらえることになりました。ササキさんあの時は本当にありがとうございましたm(_ _)m
なお、走行前に事前のブリーフィングやミーティングなどもあって
BMWBIKES誌永山編集長の当時出たばかりのEVOブレーキに関する説明などもあったんですが、
こちらはRSをどうするかで頭がいっぱいで正直上の空でした。ごめんなさい。

かくして急遽R1100Sに乗ることになった私ですが、当然車輛はササキさんのものだったので
サーキット走行に備えた点検整備は既にメカニックの方が済ませておられます。
というわけで、他の参加者の方々が忙しく自分のバイクを調整したり点検したりしておられるところを
私は悠然と会場を歩き回りながら時間になるとササキさんのテントにやって来て
「じゃあ、よろしくお願いします」とSを借り出すという気分だけはひとりプロライダー状態になってました)^o^(
実際にやってみるとあれは実に気分のいいものです(笑)

そんなわけで走行は始まったんですが、最初はお約束通り先導付きの慣熟走行。
それが終った所で昼食タイム、次いで集合写真撮影と記念品のプレゼントです。
記念品を受け取った時にはどことなく”在庫処分”という言葉が脳裏に浮かんでしまったんですが、
まあ深く考えないこととしましょう。
しかし、慣熟走行を終えて私は「借り物Sのプレッシャーは想像以上に大きいなあ」と思ってました。
何しろ借り物で、おまけに暫くしたらレースに使うことが確定している車輛です。
抜かれることは許されても転ぶことは間違っても許されません。
本物のプロライダーなら「だからどうした」なんでしょうが、
私は気分だけのにわかライダーですからそういうわけにもいきません(-_-メ)
SがサーキットではRSより性能的に優れているのも乗ってみてわかりましたが、
私の技量で乗り慣れたRSのようにSを走らせられるかはまた別の問題。
結局、私にこのSはちょっと窮屈だったんです。
しかし、折角大事な車両を好意で貸してくれたササキさんにそんなワガママを言えるはずもなく、
午後に15分を三本で行われた本走行も私はこのSで走りました。

TIサーキットを走るのはこれが二度目だったんですが、ここは中低速コーナーの多いいわゆるテクニカルサーキットです。
だから全開にできる区間はそれほど多くなくて、路面のグリップも鈴鹿に比べれば低いため
面白いけど神経を使うコースだなーというのが印象です。
基本的に走っていて楽しいのは鈴鹿の方なんですが、TIでは追い越し禁止とか先導車がついてないとダメとか
鈴鹿のような厳しいことを言われません。私はフリー走行の方で走っていたんですが、
ボクサートロフィーに出場予定の方々にはバンバン抜かれまくりまして(^^;)
サーキットを走ると必ず感じる「もっとうまくなりたい」という気持ちをこの日はいつもよりいっそう強く感じてましたね。
何しろ、その日はボクサートロフィー参戦組のクールダウン走行についていくのがやっとでした(*_*)

で、走行会終了後、並行して行われたMFJの講習会終了証をもらい、ササキさんにSを返却して現実に戻った私は
取り付けられなくなったトップケースの輸送をササキさんにお願いすると宿泊して翌日もツーリングを続けるフタバさんの一行とも別れ、
参加していたマイレッジキャンペーンのディーラースタンプ巡りも断念して
一人最短距離をゆっくり走って自宅まで帰っていったのでありました。

これはあくまで走行会であって親睦を深めるイベントとしての側面は薄く、
サーキットを走られない方には行ってもしょうがないようなイベントだったんですが、
その分特化した内容で私には充分楽しめました(RSのトラブルがなければ言うことなかったんですが)
その後のボクサートロフィーWESTは見に行っていないのでわかりませんが、
参加された方によるとなかなか面白かったと聞いております。
ボクサートロフィーWESTは今年2002年にも開催されるため、
その練習として今年も開催されるTI走行会にも行きたかったんですが、
今回は諸般の事情により断念することとなりました。残念。


CLUB”BMW”(当時)のメンバーとTIの駐車場で撮影。ただ応援だけに駆けつけてくれた方もいらっしゃいました。

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